変調音付 コムジェネレーターの製作
前回はノイズジェネレーターを製作しましたが、やはりアンテナやプリアンプの調整する時にはFMで信号音を 聞きながら調整したいので、簡易ですがコムジェネレーターを作ってみました。
また、各種の調整用に信号レベル(強度)と変調音を可変できるようにしました。
コムジェネレータとは、ある発振周波数をSRDダイオードを使い、高調波を発生させて櫛型状に 等間隔の周波数を発生させる装置です。
コムジェネレーターはケーブルの減衰特性やアンテナの特性、EM測定などに使われております。
信号源には、今回は入手しやすい12.8MHzのTCXOを使い、製作してみました。
発振周波数の逓倍にはダイオードが使われるのですが、今回はMMICを使い高調波を発生させました。
また、変調信号には前回と同じようにNE555でノコギリ波を作り、TCXOに変調信号を重畳させています。
発信器がTCXOですので周波数変動が非常に少なく、正確な周波数の確認にも十分使えるものでした。
試作したコムジェネレーター
ノイズの発生の仕組みは簡単ですので、電源と可変抵抗のみでも作れますが、少し工夫をしてみました。
通常では、ノイズ信号レベルが最大になるようにプリアンプを調整するのですが、これでは単なる増幅器になってしまうことも あり、必ずしもNFが良くなるようには調整できません。
単に増幅率だけで調整をしてしまいますと、雑音が増え空Sばかりで、了解度が必ずしも上がりません。
そこで、ノイズジェネレータのからの信号を、ONにした時とOFFにした時のレベル差が最大になるように調整すれば、少なくとも S/N比(シグナルノイズ比)は最良に調整できます。
そこで、ノイズジェネレータから発生するノイズ信号を自動的にオンオフさせる為に、回路を追加させました。
回路構成は、NE555でノイズジェネレータの電源をスイッチングし、オンとオフの繰り返しを行います。
スイッチングは高速で行うことが出来、約10Hz〜1000Hzまでのスイッチが可能です。
これで、広帯域にわたり10Hz〜1KHzのAM変調がノイズ信号に重畳されることになります。
NE555でのスイッチングの様子
NE555スイッチング回路
スペアナで確認すると、12.8MHz〜8GHzまでの帯域で、変調信号が確認出来ました。
(10GHz以上の信号も十分出ていると思うのですが、今回は未確認です。近いうちに確認をしたいと思っています。)
スペアナのスパンを0Hzに設定しますと、変調が音として確認できました。
FT−817を使いFM、AM、SSBモードで受信してみますと、HF帯〜430MHz帯まで復調することが 可能でした。
さらに、トランスバーターを用いて5.7GHz帯でも変調音を復調することが出来ました。
周波数:1280MHz、 スパン:0Hz
1.2GHzプリアンプの調整
プリアンプの調整ですが、低い周波数ではかなりのレベルで出力されていますので、アンプが飽和してしまいます 。プリアンプの調整に使うには簡単なフィルターで、目的周波数のみを取り出して使うと良いでしょう。 このコムジェネレータを利用して、BPFフィルターを作ることも出来ますので、何種類かを作っておくと良いでしょう。 調整用のBPFでしたら、ロスがあっても構わないのですから簡単に作れるでしょう。
この一台で、HF帯〜マイクロ波帯までの調整が出来ますので、非常に便利に使えます。
ノイズジェネレーターの性能測定
さらに、音を聞くだけでの調整では満足出来ない方に、パソコンを使い信号を見ながら調整する方法を紹介します。
以前は「NFBENCH」というソフトがあり利用が出来たのですが、現在は入手が出来ないようです。
そこで使用制限があるのですが、試用版として無料で使える高機能アナライザーソフト「Analyzer2000」を 使って見ました。
このソフトは英語版ですが、使用方法は簡単ですのでお勧めできます。
PCのサウンド入力に受信機からの復調音声を入力することで、そのスペクトルを表示してくれます。
オシロスコープではノイズ混じりの音とか、ノイズの中に微かに聞こえる音は波形としては見ることは出来ませんが、 このソフトを使うと、FFT機能により、スペクトラムの中に、ノイズの中のわずかな信号の見つける事が出来ます。
この信号がノイズレベルから一番良く見える(角が出る)様に調整すれば、最良のS/Nに調整できます。
もちろんオシロスコープとしての機能も有りますので、多様に利用できます。
Analyzer2000の画面
ノイズと信号の比較測定 430MHz (AM)
2004.07.09
出来上がったノイズジェネレータを使いやすいようにケースに入れてみました。
今回はノイズジェネレータをスイッチングしていますので、残念ながらAM以外の受信モードでは復調する事が出来ません。
SSBモードでも単にノイズは確認できるのですが、無線機のAGC機能により、受信レベルの差としては確認する事が難しい ようです。
FMモードではSメーターが変化することが確認できます。
現在、キット化を検討しています。ご質問はメールでお願いします。
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「NFBENCH」とノイズジェネレーターについてはこちらもご覧ください。
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2004.07.09