12Vが24Vに! 昇圧コンバーターの製作 その2
今回もLM2577(ナショセミ)を使って昇圧コンバータを作ってみました。
このICは降圧、昇圧と各種のシリーズが出ている、電源用のICです。
機能はステップアップ(昇圧)、フライバック、およびフォワー
ドコンバータ型スイッチング・レギュレータの電力/ 制御機能のす
べてを内蔵したモノリシック集積回路です。
このデバイスには12V、15V の固定出力電圧バージョン、およびADJ
の可変出力電圧バージョンがあります。
今回はLM2577−ADJの可変型を使用しています。
回路構成はメーカーの推奨回路を元に製作をしております。
今回の実験結果です
- 入力電圧:12V、電流:2.4A
- 出力電圧:24V、電流:1A
- 効率:80%以上
- 基板サイズ:45mm(w)×40mm(d)×25mm(h)
以上のように、安定した24V電圧が得られました。
入力電圧を10V〜24Vに変化させても、出力電圧の変動は0.2V以内です
ので、入力電圧は安定化していなくても、問題なく使用できます。
フライバック型コンバーターですので、出力電圧にスパイク状の波形が観測されます。
発振周波数は100KHzで、電流1A出力時のスパイク電圧は1.5Vp−p有りますが、無線機に
使用しても可聴範囲外の周波数ですので、問題ないようです。
0.5V/DIV,10uSEC
電源の出力波形をオシロスコープで観察してみました。
- 入力電圧:12V 電流:2.3A
- 出力電圧:24V 電流:0.98A
- 負荷抵抗:24.6オーム
周波数は100KHzでスパイク電圧は1.2Vp−p有ります。
1V/DIV,10uSEC
そこで、スパイク電圧を除去するために、出力側に10000μFのコンデンサー
を挿入すると、かなり軽減されました。
1V/DIV,10uSEC
次に入力側の波形を観測してみましたところ、出力と同じように50KHzのスパイク電圧を観測することができました。
4.2Vp−pのスパイクを観測できます。
1V/DIV,10uSEC
入力側がバッテリーでは問題ないのですが、他の装置から電源を使う場合は、
場合によりますが、影響が出るかもしれません。
そこで、電源フィルターを製作して、スパイク電圧の軽減をさせてみました。
1V/DIV,10uSEC
ほとんど波形を観測出来ないまでに軽減できました。これで入力側には影響がなくなるとお思います。
自動車等で使用するときは、かなり有効です。
・電源フィルター
最近、問い合わせを多く頂きましたので、基板を製作しました。
基板のサイズは45mm×46mmで1.6mm厚のガラエポ基板で製作しています。
今回はシルク印刷もしましたので、容易に製作することが出来ると思います。
早速、部品を実装してみました。15分も有れば製作できると思います。
電圧調整は10KオームVRで調整します。
このままの定数ですとDC12Vを13.5V〜25Vまで可変できます。
もし6Vを12Vに可変するときは、10Kオームの抵抗を2K〜5Kオームに交換してください。
簡単な負荷テストを行ってみました。負荷抵抗にはセメント抵抗を使用しています。
6V入力:12V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
6V | 1.44A | 12V | 0.6A | 20オーム |
6V | 1.20A | 12V | 0.8A | 15オーム |
6V | 2.81A | 12V | 1.0A | 12オーム |
6V | 不可 | 不可 | 不可 | 10オーム |
6V入力:13V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
6V | 1.73A | 13V | 0.65A | 20オーム |
6V | 2.45A | 13V | 0.87A | 15オーム |
6V | 不可 | 不可 | 不可 | 12オーム |
9V入力:12V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
9V | 0.83A | 13V | 0.6A | 20オーム |
9V | 1.11A | 13V | 0.8A | 15オーム |
9V | 1.46A | 13V | 1.0A | 12オーム |
9V | 1.76A | 13V | 1.2A | 10オーム |
9V入力:13.8V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
9V | 1.14A | 13.8V | 0.69A | 20オーム |
9V | 1.54A | 13.8V | 0.92A | 15オーム |
9V | 2.05 | 13.8V | 1.15A | 12オーム |
9V | 2.47A | 13.8V | 1.38A | 10オーム |
12V入力:13.8V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
12V | 0.81A | 13.8V | 0.69A | 20オーム |
12V | 1.08A | 13.8V | 0.92A | 15オーム |
12V | 1.41A | 13.8V | 1.15A | 12オーム |
12V | 1.70A | 13.8V | 1.38A | 10オーム |
12V入力:24V出力
入力電圧 | 入力電流 | 出力電圧 | 出力電流 | 負荷抵抗値 |
12V | 1.30A | 24V | 0.60A | 40オーム |
12V | 1.36A | 24V | 0.63A | 38オーム |
12V | 1.49A | 24V | 0.69A | 35オーム |
12V | 1.65A | 24V | 0.75A | 32オーム |
12V | 1.78A | 24V | 0.80A | 30オーム |
12V | 1.90A | 24V | 0.86A | 28オーム |
12V | 2.12A | 24V | 0.96A | 25オーム |
12V | 2.49A | 24V | 1.09A | 22オーム |
12V | 2.86A | 24V | 1.20A | 20オーム |
12V | 不可 | 不可 | 不可 | 18オーム |
以上の様な結果となりました。入出力の電圧差が大きいと、出力電流は多くは取れないようです。
この基板を使って、いろいろと応用できそうです。
例えば、DC12VのACアダプターで鉛蓄電池の充電(13.2V)とか、12V電源で24Vのモーターとか
リレーの駆動、鉛蓄電池(12V)orニッカド電池で13.8Vの無線機に使用する。・・・
色々と工夫して使ってください。
24V昇圧コンバーターの回路図はこちらです(PDF)
基板が出来上がりました、配布を致します。
基板の配布、ご質問はこちらまで
購入はコスモウェーブ・オンラインショップ
|
|