1200MHz直下型パワーアンプ(ERB-12150WR)の修理を依頼されて、修理改造をしてみました。
この直下型パワーアンプは、ステンレスの大型のケースに入れられており、内部にはク−リングファンが内蔵されています。
内部にはパワーモジュールが8合成されて、150Wの出力を得られるとされています。
この製品は、発売当時は約30万円の非常に高価な製品と思います。
パワーモジュールには三菱のM67711(FM用)が使用されておりました。
パワーモジュールはアルミのブロックに固定されており、基板で合成、分配されています。
経年劣化もあり、内部は錆び、埃が多く見られます。
このユニットは専用のコントローラーと合わせて使用するようになっており、また動作しないと言われていましたので、内部のユニットを取り出して各部を測定してみる事としました。
各部の電圧は正常でしたので、パワーを測定してみますと、約40Wの出力でした。
モジュールの発熱状態から想像すると、4個のモジュールは動作していませんでした。
また、ウイルキンソン合成の抵抗が、一部の物が50Ω(他は100Ω)になっていました??
このままでは使用できないので、パワーアンプ部はすべて新しく作り直しました。
パワーモジュールはRA18H1213Gで4合成アンプ構成としています。
内部ユニットはすべて分解清掃して、更に大型ヒートシンクを新設し、クーリングファンもすべて交換、プリアンプユニットは最新型に交換、
さらに、内部基板のパーツ類も交換しました。
コネクター類は高級品を多数使用し、ATTを新設、同軸ケーブル類はテフロン同軸に交換しています。
つまり使用できたのは、ステンレスシャーシ類、同軸リレー、ヒートシンクだけでした。
組み上げて、パワーを測定しますと、120Wの出力を得られました。
更にコントロールユニットも不都合があり、修理しています。
内部のマイクの配線が、TS790用と記載が有ったのですが、調べてみると全く配線が違いました。
配線を正規の物に直してみると正常に動作することが出来ました。
修理完了後に動作試験をし、正常に動作をすることを確認して、ユーザーにお渡ししました。
しかし、ユーザーから連絡があり、送信中に無線機のスピーカーから自分の声が聞こえるとの事??
どうも高周波の回り込みが有ったようです。
スタンバイ・コントロールユニットの回路までは調べなかった為に、ここからリグに回り込みを起こしているようでした。
(対策がなされていなかったのでしょうか?)
コントロール線とマイクラインにフェライトコアで対策をして、問題は解決できました。
今回は回路図等が無い状態での修理でしたので、回り込みまでは考えていませんでした。
その後は問題が起きていようなので、一安心です。
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