5760MHz簡易型パワー計の製作

移動運用用として、5760MHz 用の簡易型パワー計を製作してみました。
周波数は 5760MHz 専用ですが、性能は安定しており精度も 5% 以内でしたので、実用上は問題ないレベルといえます。

パワー計の製作では、本来であれば検波時の特性や温度ドリフトなどを考慮した設計が必要で、 どうしても回路が複雑になりがちです。
今回は移動運用でのパワーチェックを主目的とし、無電源で使える簡易型構成としました。

回路構成は、次のような非常にシンプルなものです。

ATT → 検波 → 整流 → 補正 → 表示

原理としては、検波用ダイオードで倍電圧整流を行い、簡易な補正回路を通してメーター表示を行います。
ダイオードの 2 乗特性のうち、比較的リニアに近い部分を利用することで、直線的な表示を実現しています。

ただし、周波数が変わるとダイオードの特性も変化してしまうため、このパワー計は 5760MHz 専用になります。
安価な構成でまとめたため、その点は割り切っています。(^^;

最大の特徴は「無電源」であることです。そのため、移動先でも非常に手軽にパワー測定ができます。

測定レンジは 1mW~10mW としました。メーターのレンジ切り替えスイッチは付けていませんが、 実際の運用ではアッテネーター(ATT)を併用すれば、実用上は問題ないと考えています。

今回は試作として 3 台製作しましたが、ほぼ同じ特性が得られました。

試作品の測定は、SG からの出力を 2 分配し、HP435 と自作パワー計に接続して比較する方法で行いました。
温度特性は詳細な測定を行っていませんが、常温での使用であれば問題はないようです。

パワー測定装置(デバイダー) SG 出力側の様子
パワー測定装置(デバイダー) SG
パワー比較測定 90mW (10dB ATT) パワー比較測定 40mW (10dB ATT)
パワー比較測定 90mW (10dB ATT) パワー比較測定 40mW (10dB ATT)

2004.06.17


出来上がったパワー計は、使いやすいようにケースに収めました。
メーター部分には航空機用メーターを流用したため、外観もかなり格好良く仕上がりました。

ケースに入れたパワー計(正面) ケースに入れたパワー計(別アングル)
ケースに入れたパワー計 ケースに入れたパワー計
パワー比較測定 75mW
パワー比較測定 75mW

入力コネクタには、業務用の金メッキ SMAJ コネクタを使用しました。これによりロスも少なく、 安定した性能が得られました。
実用面でも十分に使えるパワー計になったと思います。

最大入力が 10mW の終端型パワー計ですので、10dB~30dB のアッテネーターを併用することで、 1mW~10W までのパワー測定が可能です。

2004.06.21(更新)