三菱の Mos-FET パワーモジュールを入荷しましたので、早速実験をしてみました。
(発注から2ヶ月で届きました)
このモジュールは ICOM のトランシーバーに使用されているもので、M57762 の新型ともいえる物です。
スペックは下記の通りです。
- RA18H1212G
- VDD:12.5V
- VGG:5V(1mA)
- Pin:200mW
- FREQ:1.24~1.3GHz
- MAX-POW:40W
このパワーモジュールは3段アンプ構成になっており、すべて MOSFET デバイスが使用されています。
ゲート電圧でパワーコントロールができるようになっており、5V・1mA と非常に少ない電流でコントロールが可能です。
GAIN は 23dB 以上もあり、低入力でハイパワーが得られます。
また、アイドリング電流は VDD 12V、VGG 5V の時に 2A 以上ありますので、注意が必要です。
シングル構成での簡易実験
まず簡易に実験してみました。
実験に当たっては、アルミミーリングケースに回路を組み込み、内部に3端子レギュレーター(78L05)で VGG 電圧を得ています。
入出力コネクターには SMAJ 端子を使用しています。
発振器には、無線機 TS-790G を CW モードで使用し、更に 10dB のアッテネーターを挿入して電力を調整しています。
パワー計は HP437B + HP8481B で測定しました。
実験条件は次の通りです。
- 周波数:1295MHz
- 入力:150mW
- 電圧:13.8V
- VGG:5V
- 出力:33W(ピーク)
無調整で、なんと 33W のパワーが出ました。
200mW まで入力電力を上げてみましたが、出力はほとんど変わりませんでした。つまり 150mW でも飽和しているようです。
また、電流値が 10A 近く流れるので、かなりの発熱があります。
このモジュールは MOS なので、温まってくると当然パワーは下がってきます。
それでも放熱をしっかりすると、28W 以上は出ているようです。
データシートによると、0.42℃/W の放熱器が必要ですので、かなりの大型の放熱器が必要でしょう。
パワーを調整するには、ゲート電圧をコントロールするだけで簡単に出来そうです。
ゲート電流は 1mA ですので、簡単に VR でコントロールできるでしょう。
また、ドレイン電圧は 12V 位の方が発熱が少なくてよさそうです(パワーは 25W 程度になります)。
計算しますと効率は 20%程度ですが、データシートの記載と同じようです。
周波数が低いほど出力が大きくなるようで、1280MHz ではピークで 40W の出力も得られました。
このモジュールは入力電力が少なくて済むので、直下型アンプとか自作の機器に用途は多彩で、放熱をしっかりすれば多段合成で EME アンプとして使用できると思われます。
これからも続けて実験してみたいです。
2007.4.11(更新)
モジュール2合成アンプの実験
今回はモジュールの2合成実験をしてみました。
下記の写真のように、基板で2個のパワーモジュールを合成しています。
入力は 300mW 程度で、なんとピークでは 70W の出力を得られました。
- 電圧:13.8V
- 電流:17A
- 出力:約 70W(ピーク)
さすがに 17A も流れるので非常に発熱します。やはり発熱しますとパワーが下がってきます。
そのため、大型のヒートシンクにファン等で十分に冷却しなければなりません。
しかしすごい能力です。4合成すれば、簡単に 130W 以上のパワーが得られます。
なかなか凄いモジュールです。
2007.4.19(更新)
資料(パワーポイント・解説書)
★簡単なパワーポイントの説明を作りました。
三菱パワーモジュールを使用した1200MHz帯パワーアンプ
★解説書はこちら(PDF ファイル)
三菱パワーモジュールを使用した1200MHz帯パワーアンプ
2009.3.31(更新)