1200MHzMosモジュールアンプの製作(三菱 RA18H1213G)

三菱の Mos-FET パワーモジュールを入荷しましたので、早速実験をしてみました。
(発注から2ヶ月で届きました)

三菱 Mos-FET パワーモジュール外観

このモジュールは ICOM のトランシーバーに使用されているもので、M57762 の新型ともいえる物です。

スペックは下記の通りです。

  • RA18H1212G
  • VDD:12.5V
  • VGG:5V(1mA)
  • Pin:200mW
  • FREQ:1.24~1.3GHz
  • MAX-POW:40W

このパワーモジュールは3段アンプ構成になっており、すべて MOSFET デバイスが使用されています。
ゲート電圧でパワーコントロールができるようになっており、5V・1mA と非常に少ない電流でコントロールが可能です。
GAIN は 23dB 以上もあり、低入力でハイパワーが得られます。
また、アイドリング電流は VDD 12V、VGG 5V の時に 2A 以上ありますので、注意が必要です。

RA18H1213G 簡易実験の様子1 RA18H1213G パワーアンプ回路図(簡易実験)

シングル構成での簡易実験

まず簡易に実験してみました。
実験に当たっては、アルミミーリングケースに回路を組み込み、内部に3端子レギュレーター(78L05)で VGG 電圧を得ています。
入出力コネクターには SMAJ 端子を使用しています。

発振器には、無線機 TS-790G を CW モードで使用し、更に 10dB のアッテネーターを挿入して電力を調整しています。
パワー計は HP437B + HP8481B で測定しました。

RA18H1213G パワー測定の様子

実験条件は次の通りです。

  • 周波数:1295MHz
  • 入力:150mW
  • 電圧:13.8V
  • VGG:5V
  • 出力:33W(ピーク)
RA18H1213G 出力測定結果

無調整で、なんと 33W のパワーが出ました。
200mW まで入力電力を上げてみましたが、出力はほとんど変わりませんでした。つまり 150mW でも飽和しているようです。

また、電流値が 10A 近く流れるので、かなりの発熱があります。
このモジュールは MOS なので、温まってくると当然パワーは下がってきます。
それでも放熱をしっかりすると、28W 以上は出ているようです。
データシートによると、0.42℃/W の放熱器が必要ですので、かなりの大型の放熱器が必要でしょう。

パワーを調整するには、ゲート電圧をコントロールするだけで簡単に出来そうです。
ゲート電流は 1mA ですので、簡単に VR でコントロールできるでしょう。
また、ドレイン電圧は 12V 位の方が発熱が少なくてよさそうです(パワーは 25W 程度になります)。
計算しますと効率は 20%程度ですが、データシートの記載と同じようです。

周波数が低いほど出力が大きくなるようで、1280MHz ではピークで 40W の出力も得られました。

このモジュールは入力電力が少なくて済むので、直下型アンプとか自作の機器に用途は多彩で、放熱をしっかりすれば多段合成で EME アンプとして使用できると思われます。
これからも続けて実験してみたいです。

2007.4.11(更新)


モジュール2合成アンプの実験

今回はモジュールの2合成実験をしてみました。
下記の写真のように、基板で2個のパワーモジュールを合成しています。

RA18H1213G 2合成パワーアンプ外観

入力は 300mW 程度で、なんとピークでは 70W の出力を得られました。

RA18H1213G 2合成パワー測定結果
  • 電圧:13.8V
  • 電流:17A
  • 出力:約 70W(ピーク)

さすがに 17A も流れるので非常に発熱します。やはり発熱しますとパワーが下がってきます。
そのため、大型のヒートシンクにファン等で十分に冷却しなければなりません。

しかしすごい能力です。4合成すれば、簡単に 130W 以上のパワーが得られます。
なかなか凄いモジュールです。

2007.4.19(更新)


資料(パワーポイント・解説書)

★簡単なパワーポイントの説明を作りました。
三菱パワーモジュールを使用した1200MHz帯パワーアンプ

★解説書はこちら(PDF ファイル)
三菱パワーモジュールを使用した1200MHz帯パワーアンプ

2009.3.31(更新)