簡易コムジェネレータの製作
マイクロ波になると、発振器などは非常に高価になり、なかなか用意することができません。
しかし、アンプやLNA、アンテナなどを製作するには、やはり発振器がどうしても必要になります。
そこで、発振器の代わりに簡易型のコムジェネレータを製作してみました。
コムジェネレーターとは、スペクトルアナライザー等のオプションでよく見かけます。
機能としては、多くの信号を一定間隔で発振する物で、マルチマーカーの様なものです。
試作したコムジェネレータの測定 周波数特性 (1GHz〜10GHz)
試作したコムジェネレータの測定 周波数特性 (0.1GHz〜8GHz)
この様に、一定間隔で多くの信号が出ています。
原理は、信号をマイクロ波ダイオード(SRD)に印加し、その歪で高調波を発生させて、信号として利用します。
信号の周波数特性は、入力された信号の2倍、3倍、4倍・・・・と正確に出力されます。
その為、入力される信号が安定した周波数であれば、逓倍された周波数も、同様に安定して出力されます。
つまり、入力する信号の安定度が10ppmであれば、出力される周波数も10ppmの精度になります。
通常のコムジェネレーターは、発振器が内蔵されているのですが、今回は外部から信号を入力して、あらゆる周波数に対応できるようにしました。
信号元にはアマチュア無線機(50MHz〜430MHz)を使用します。(もちろんシグナルジェネレーターでも構いません。)
たとえば
・1296MHz −− 144.000MHz×9逓倍
・5760MHz −− 144.000MHz×40逓倍
・10.24GHz −− 144.225MHz×71逓倍
・2427MHz −− 50.252MHz×48逓倍
この様に、144MHz帯の無線機があれば、色々な周波数を作ることが出来ます・
もちろん、ハンディ機でも十分です。
★ 製作 ★
今回の製作には、M/Acomのマイクロ波ダイオードとミニサーキットの新しいMMICデバイス「GALI-39」を使用してをコムジェネレー製作してみました。
基板にはGALI-05で製作した、両面スルーホールで0.6mm厚のPPO基板をそのまま流用しました。
入力する発振器にはトランシーバーを使用することを前提に、入力部に10dBのアッテネーターを設置しました。
これで100mW〜1W程度の入力にも対応できるようになっています。
その後、マイクロ波ダイオードで信号を逓倍させて、その後MMICデバイス「GALI-39」で増幅しています。
これにより、10GHz以上まで、強力に信号を発信することが出来ました。
これにより、5.76GHzでは-48dBm、10.24GHzでは-73dBmと信号としては十分な出力を得ることが出来ました。
試作した基板
ユニット内部
完成したユニット
簡易コムジェネレータの回路図
●性能測定の結果
周波数:1GHz〜10GHz
出力周波数:10GHz以上(入力:144MHz)
出力電力:-50dBm以上(5760MHz)
電圧:10V〜15V(本体:8V) 9V電池でも可
消費電流:50mA以下
サイズ:15mm×25mm
コムジェネレータの測定 (入力:144.00MHz)
コムジェネレータの測定 (入力:144.225MHz)
★パラボラアンテナの調整方法★
コムジェネレータのSMAJ端子にアンテナ(送信用)を接続します。これは簡易な物で構いません(ホーンアンテナ、ホイップアンテナ)
コムジェネレータのBNCJ端子にトランシーバーを接続します。
目的の周波数になるように、トランシーバーの周波数を設定します。(例)目的周波数が5760MHzではトランシーバーを144.00MHz
調整するアンテナに無線機(トランスバーター)を接続し、受信周波数に合わせます。
送信用アンテナとパラボラアンテナは適当な距離が有ると、正確に調整できます。
コムジェネレータに電源を入れ、トランシーバ(送信用)の周波数を合わせ、FM、CWモードで送信します。(最大1W)
アンテナを調整して、復調音がクリアに聞こえる様にパラボラアンテナを調整します。(受信側はSSBかCWモードにすると調整が楽です)
パラボラアンテナの焦点距離を変化させたりしながら調整をすると良いでしょう。
もしコムジェネレータの出力が多い場合は、出力端子に適当なアッテネーターを挿入して、レベルを調整してください。
★フィルターの調整、ケーブルロスの測定方法★
コムジェネレータのSMAJ端子にフィルター -- スペアナと接続し、目的の受信周波数に合わせます。
コムジェネレータのBNCJ端子にトランシーバーを接続します。
目的の周波数になるように、トランシーバーの周波数を設定します。(例)目的周波数が5760MHzではトランシーバーを144.00MHz
コムジェネレータに電源を入れ、トランシーバ(送信用)の周波数を合わせ、FM、CWモードで送信します。(最大1W)
細かく見るには、50MHz辺りをコムジェネレーターに入力すると、周波数が細かく見えます(最高周波数は下がります)
フィルターを調整して、目的周波数でロスが無くなるように調整します。
同じように同軸ケーブルのロスも測定できます。(比較簡易測定)
トランシーバー(送信側)周波数を変化させると、擬似的なスイーパーの役目もしますので、色々な利用価値があります。
(2007.06.20更新)
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